コロナ感染拡大防止のため「2021年度秋季」はオンライン開催とさせていただきます。
ご挨拶

相原 博昭 東京大学 理事・副学長
グレーター東大塾は、先端専門性に焦点を置き、現実社会の身近なテーマを取り上げて、塾長となる教授の指導のもとに展開するユニークなものです。一般教養の講義というレベルを超えて、大学と社会が連携して第一線の課題に取り組み、社会変革を駆動していくネットワークを構築する、それが本プログラムの目的です。
各方面から、広くご受講くださることを願います。
グレーター東大塾
監 修
グレーター東大塾企画委員会 委員長
津田 敦
(東京大学 執行役・副学長)
概 要
- 場 所
- Zoomによるオンライン開催
- 時 間
- 18時00分~20時30分
- 期 間
- 半期、10コマ
- 規 模
- 塾生100名程度
- 参加費
- 5万円(+消費税)
特 色
- ● 先端・専門性の高い現代社会的テーマ
- ● 塾長の個性を尊重した多種多様なプログラム
- ● 外部講師も含めた実践的内容
- ● 塾生参加による 共同研究・政策提言なども視野

塾長
酒井 邦嘉
東京大学 大学院総合文化研究科
教授
〈プロフィール〉
東京大学大学院理学系研究科博士課程修了、理学博士。専門は言語脳科学および脳機能イメージング。著書に『言語の脳科学』『科学者という仕事』『科学という考え方』(中公新書)、『脳の言語地図』(明治書院)、『チョムスキーと言語脳科学』(インターナショナル新書)、『芸術を創る脳』(編、東京大学出版会)など。

副塾長
鈴木 貴之
東京大学 大学院総合文化研究科
准教授
〈プロフィール〉
東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学、博士(学術)。専門は心の哲学(科学史・科学哲学研究室)。著書に『ぼくらが原子の集まりなら、なぜ痛みや悲しみを感じるのだろう—意識のハード・プロブレムに挑む』(勁草書房)、『100年後の世界—SF映画から考えるテクノロジーと社会の未来』(化学同人)など。
今回のテーマ
脳科学とAIは
いかに社会を変えるか
塾 長 : 東京大学 大学院総合文化研究科 教授
酒井 邦嘉
社会変化の予測から仕事の意義(シンギュラリティの問題)まで、人間の脳をモデルとした人工知能(AI)が応用されようとしている。そこで、知性(インテリジェンス)や個人の資質の多様性を脳のメカニズムとして科学的に理解し、脳の潜在的能力を創造性に活かすことが問われている。
本講座では、「脳とAI」に関する先端的な取り組みを紹介しながら、特に予備知識を仮定することなく理解できるよう、本学内外からの卓越した講師陣がわかりやすく解説する。人間を対象とした脳科学の「概論」に続き、学習や適応を支援する技術開発、食と香りの脳計測、AIで脳から心を解読する「産業応用」を扱う。また、精神医学と脳科学、計算論的精神医学といった「医療応用」、そしてAIによる自然言語処理、志向性とロボティクスといった「技術開発」を知り、百年後のテクノロジーと脳、脳科学の倫理と人間から「未来論」を含めて、俯瞰的かつ深い理解をめざす。
本塾では、多用な可能性を持つ脳科学をテーマに、多方面からの講義とディスカッションを通して、AIの利用がいかに社会を変えるかを探りたい。
講 師
グレーター東大塾では課題に精通する第一線教授陣による対話型の講義形式で開講します。
今水 寛
東京大学 大学院人文社会系研究科
東京大学大学院人文社会系研究科/大学院工学系研究科(兼任)、教授。ATR認知機構研究所、所長(兼任)。東京大学大学院人文社会系研究科、博士課程修了。博士(心理学)。ATR人間情報通信研究所入社後、人間の感覚運動学習の仕組みを、心理実験・脳活動計測・計算モデルを組み合わせて解明することに従事。2015年より現職。
笠井 清登
東京大学 大学院医学系研究科
東京大学医学部附属病院精神神経科教授。臨床としては、精神疾患全般、特に思春期・青年期の診療に力を入れている。また、東日本大震災後のこころのケア活動を宮城県や岩手県の沿岸部地域で長期に行っている。研究としては、統合失調症などの精神疾患の脳画像研究、世田谷区などの自治体と協力した思春期コホート研究などを進めている。編著書に、「人生行動科学としての思春期学」東京大学出版会、2020などがある。
鶴岡 慶雅
東京大学 大学院情報理工学系研究科
2002年東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了。博士(工学)。科学技術振興事業団研究員、マンチェスター大学 Research Associate、北陸先端科学技術大学院大学准教授、東京大学大学院工学研究科准教授を経て、2018年より東京大学大学院情報理工学系研究科教授、現在に至る。自然言語処理およびゲームAIの研究に従事。
小早川 達
産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門
産業技術総合研究所 人間情報インタラクション研究部門 上級主任研究員 東京大学工学系研究科、修士課程修了。工学博士。工業技術院(現在の産業技術総合研究所) 入所後、脳磁場計測によるヒトの味覚一次野の場所の同定など心理計測、脳計測から味嗅覚の知覚・認知機構の解明を志している。
前野 隆司
慶應義塾大学 大学院システムデザイン・マネジメント研究科
1986年東京工業大学修士課程修了。キヤノン株式会社、カリフォルニア大学バークレー校訪問研究員、ハーバード大学訪問教授等を経て現在慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。慶應義塾大学ウェルビーイングリサーチセンター長兼務。博士(工学)。専門は、システムデザイン・マネジメント学、幸福学、イノベーション教育など。
神谷 之康
京都大学 大学院情報学研究科
京都大学 情報学研究科・教授、ATRフェロー。カリフォルニア工科大学博士課程修了後、ハーバード大学、プリンストン大学を経てATR脳情報研究所で研究に従事。2015年より現職。機械学習を用いて脳信号を解読する「ブレイン・デコーディング」法を開発し、ヒトの脳活動パターンから視覚イメージや夢を解読することに成功した。
川人 光男
ATR脳情報通信総合研究所
1976年東京大学大理学部卒業。1981年大阪大学大学院生物工学科博士課程修了。 2003年よりATR脳情報研究所所長、理研革新知能統合研究センター特別顧問など を兼任。専門は計算論的神経科学。塚原賞、時実賞、朝日賞、APNNA賞、Gabor 賞、立石賞特別賞、C&C賞などを受賞。2013年紫綬褒章受章。日本学術会議第2部会員。著書に「脳の仕組み」、「脳の計算理論」、「脳の情報を読み解く」等。
信原 幸弘
東京大学 大学院総合文化研究科
東京大学総合文化研究科の科学史・科学哲学教室の元教授、現在は名誉教授。東京大学理学系研究科、博士課程満期退学。博士(学術)。専門は心の哲学、脳科学の哲学・倫理・リテラシー。著書は『考える脳・考えない脳』(2000年)、『情動の哲学入門』(2017年)など、共編著は『脳神経倫理学の展望』(2008年)、『脳神経科学リテラシー』(2010年)など。
講座内容・日程
講義時間
90分(講義)+ 60分(質疑応答)
18:00~20:30
第1回
9月8日(水)
概 論
脳科学の現状と展望
講師 |
東京大学 大学院総合文化研究科 |
人間を対象とした脳科学、特に脳機能イメージング・脳損傷研究・行動実験などの現状を概観して、その将来を展望する。また、人間の言語能力が学問や芸術を含め、あらゆる創造的活動の基礎となっていることを明らかにして、現状のAIに内在する問題点について議論を深めたい。
第2回
9月15日(水)
産業応用
学習や適応を支援する技術開発
講師 |
東京大学 大学院人文社会系研究科 |
人間は新たな生活環境に置かれたとき、さまざまなことを学習し、行動パターンを変え、環境に適応できる。脳や身体がケガ・病気・加齢などで変化した場合にも、新たな学習・適応を迫られる。学習に関わる脳と心の仕組みを解明し、学習・適応を支援する技術開発へと繋げる試みについて紹介する。
第3回
9月22日(水)
医療応用
精神医学と脳科学
講師 |
東京大学 大学院医学系研究科 |
人間個体の脳は、精神機能と行動を生み出し、世界(社会)に対して作用するとともに世界からの作用を内在化する、つまり世界と相互作用しながら生活や人生を成立させる器官である。この相互作用の不調・アンマッチ状態を個体側に属するものとみなして精神疾患と呼んでいる。こうした整理のもとに精神医学と脳科学について論じ、全体テーマの理解の一助となれば幸いである。
第4回
9月29日(水)
技術開発
AIによる自然言語処理
講師 |
東京大学 大学院情報理工学系研究科 |
近年、機械翻訳をはじめとして、深層学習(ディープラーニング)を利用した自然言語処理技術の進展が著しい。自然言語処理でよく使われるニューラルネットワークモデルを解説し、それによって可能になった最新技術と新しいアプリケーションを紹介する。
第5回
10月6日(水)
産業応用
食と香りの脳計測
講師 |
産業技術総合研究所 |
味覚・嗅覚は日常の中で食と密接に関わり重要な感覚である。最近の分子生物学の発展から味嗅覚の受容器の仕組みの解明には長足の進歩が見られたが、ヒトの味や匂いの認知については数多くの謎が残されている。人間は日常の味や匂いをどのように捉えているかについて、我々が取り組んでいる心理学・脳科学の結果を紹介する。
第6回
10月20日(水)
技術開発
志向性(意識)とロボティクス(心と体)
講師 |
慶應義塾大学 |
志向性(意識)とロボティクス(心と体)をテーマに、意識と無意識についての受動意識仮説について述べる。すなわち、主観的な意識についてのリベットの研究などを引用しながら、意識の受動性について論じる。ロボットに心を持たせることの可能性についても論じる。
第7回
10月27日(水)
産業応用
AIで脳から心を解読する
講師 |
京都大学 大学院大学院情報学研究科 |
脳信号は心の状態を符号化する「コード」とみなすことができる。われわれのグループは機械学習を用いて脳信号を解読する「ブレイン・デコーディング」法を開発し、心的イメージの可視化を実現してきた。デコーディング手法の開発過程をたどりながら、脳情報通信の今後を展望する。
第8回
11月10日(水)
医療応用
計算論的精神医学の可能性
講師 |
ATR脳情報通信総合研究所 |
コロナ禍での行動嗜癖や自殺の増加が社会的な問題になっている。神経科学とAI技術は問題解決に次のように貢献できる。まず、脳活動の計測にもとづく、精神疾患の脳回路バイオマーカである。第2に、ニューロフィードバック治療である。計算論的精神医学の最近の進展を俯瞰する。
第9回
11月17日(水)
未来論
百年後のテクノロジーと脳
講師 |
東京大学 大学院総合文化研究科 |
脳科学の進展とともに、その技術的応用にもさまざまな可能性が開けつつある。脳科学とAIを組み合わせることで、応用可能性はさらに広がるだろう。これらの技術によって、われわれの生はよりよいものになるのだろうか。脳科学とAIを例として、テクノロジーと社会の関係について考えてみたい。
第10回
11月24日(水)
未来論
脳科学の倫理と人間のゆくえ
講師 |
東京大学 大学院総合文化研究科 |
脳科学は人間の脳/心の解明だけではなく、最近では特にAIとの連携を深めて、ますます人間のあり方を大きく変えつつある。それは知覚や運動から情動、思考、意思決定まで広範囲に及ぶ。このような人間の変容に哲学的・倫理的な検討を加え、ウェルビーイングの観点から今後の人間のゆくえを占う。
10月13日(水)
交流セッション
(オンライン開催)
参加者間のネットワーク構築のためのグループディスカッションを実施します。
講師 |
東京大学 大学院総合文化研究科 |
9月1日(水)
開講式
講師 |
東京大学 大学院総合文化研究科 |
12月1日(水)
修了式
講師 |
東京大学 大学院総合文化研究科 |
お申込み
受講生募集要項
- 塾生対象者
- あらゆる領域から本テーマに関心の強い法人ならびに個人を広く募集します。
- 定 員
- 100名
- 参加費
- 50,000円(+消費税)/人
参加用のライセンスは原則として申込み者本人のみ有効です。複数人で参加される場合は、人数分の申込みをお願いします。 - 締切り
- 2021年8月25日(水)※締切りました
- 個人情報の取り扱い
及び注意事項 - ●申込みにより知り得た氏名、住所、その他個人情報については、塾運営業務を行うために利用します。また、同個人情報は、入塾者の教務関係や受講料徴収に関わる業務を行うために利用します。上記各種業務は、一部を本学より受託業者に委託して行うことがあり、受託業者に対して、委託した業務を遂行するために必要となる限度で、知り得た個人情報の全部又は一部を提供する場合があります。
●講義録を取りまとめて出版する場合があります。
●本募集要項の記載内容は変更される場合があります。 - お問い合わせ
- 東京大学社会連携本部 グレーター東大塾事務局
プログラムオフィサー:小引 康彦
〒113-8654 東京都文京区本郷7-3-1
TEL:080-7599-1687 FAX:03-5841-1054 E-mail:gtj.adm@gs.mail.u-tokyo.ac.jp
募集は終了いたしました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
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